N・H・Kにようこそ！

あらすじ

◆概要
大学を中退して四年目、ひきこもりの佐藤達広は中原岬という謎の美少女に出会いとあるプロジェクトに巻き込まれる。

◆おすすめする人
・現在ひきこもっている人
・過去ひきこもっていた人
・現況に満足できていない人

◆あらすじ
大学を中退してから四年、親からの仕送りで生活する佐藤達広は立派なひきこもりになっていた。自分が引きこもりから脱却できないのは昔からNHKで放送されるアニメが好きだったことから、アニメ＝オタク＝人付き合いが苦手＝引きこもりと考えNHKの陰謀であると結論付けN・H・K＝にほん・ひきこもり・協会と戦うことを決意する。
ある日佐藤は宗教勧誘の付き添いでやってきた美少女、中原岬と出会う。そんな彼女に引きこもりとばれたくない一身で出鱈目に見栄をはる佐藤。その後手紙で呼び出された佐藤は、岬から「あなたは私のプロジェクトに選ばれました」と言われる。ひきこもりから脱出させてあげるという岬に口八丁で対応する佐藤。嘘をなんとか誤魔化すために、ひょんなことから隣に住んでいた中学の後輩である山崎薫とゲーム製作を開始する。そんな中、高校の先輩だった柏瞳と出会った佐藤は現実を見ざるを得なくなり、岬に本当のことを話し契約書にサインをする。
岬のカウンセリングが始まる。様子を見に来た佐藤の母を二人協力して誤魔化したり、二人で花火を見に行ったり、仲を深めていく二人だったが、佐藤のネガティブ思考と被害妄想で一方的に岬と距離を置くことになる。さらに憧れの先輩瞳に誘われる形で知らずに自殺オフ会に出席し、そこで岬の本音を知り、死の感覚を経験し号泣する佐藤。ここから佐藤はネトゲにはまり、マルチ商法にはまり、さらに山崎の帰郷による別れ、岬との開いた距離感、と人間的にも気分的にも堕ちていく。
堕ちていっているのは岬も同じだった。岬が欲しかったのは自分を必要としてくれる人、自分の存在価値。自分は佐藤からも必要なくなってしまったと感じた岬は自殺を図る。なんとかしようと奔走する佐藤だったが、どんな言葉をかければ彼女が救われるのかわからない。そこで佐藤は全ての元凶であるNHKの陰謀と共に自爆することで岬を救おうとする。

◆おすすめポイント
現在こそニートが主人公もののアニメ作品は豊富だが、このNHKにようこそが放送されていた当時はまだ斬新であった。さらにこの主人公の佐藤は実は特殊な能力を持っていたなんてことも、隠れた才能もなにもない、それどころか清々しいほどにダメな人間だ。だからこそリアルに感じられる。生々しいほどに。元ひきこもりの著者が書いた、ひきこもりにも元ひきこもりにもぜひ一度見てもらいたい作品。